今回の任務は、ある要人X氏を例のあの国から守るぬくこと。その人物X氏の詳細は俺たちにも知らされていないが、相手にとってやっかいな存在ということは間違いないようだ。なぜなら、俺たち日本屈指のSP(セキュリティポリス)チームに依頼が来たことからも明らかだった。
依頼を受けてから季節は夏から秋になった。秋雨が続きジメジメした陰湿な外気は、常にエアコンの効いたX氏のマンションには微塵も影響しなかった。常にマンションから出られない乾いた俺たちには外のジメジメが少し羨ましかった。この超高層マンションは国が用意したもので、窓からは荒川が見えた。最上階ワンフロア全てがX氏の部屋であった。
X氏の日々のスケジュールは概ね決まっていた。昼夜を通しマンションから出ることはなかったが、昼はNPO団体との会合、夜は政府要人と密会であった。
任務は2班に別れていた。A班はマンション内外の警備、B班はX氏と共に行動した。俺はB班で特にX氏の近くに居ることが多かった。食事は、まず俺が毒味をした後にX氏が食べた。隣の部屋に行く時も、俺が先に安全を確認した。就寝する時もX氏は自分のベッドは使わず毎晩違うベッドで寝ていた。X氏のベッドには、B班のSPが交代で寝ていた。
任務に就いて1ヶ月、大きな動きもなく平穏な日々が続いていた。外交上も大きな動きはなく、例のあの国も何も仕掛けてこなかった。しかし、それは嵐の前の静けさだった。
ある夜、俺がX氏のベッドで寝ることになった。壁の電波時計は午前2時を過ぎていた。今思えば、この頃少し気が緩んでいたのかもしれない。「今日も異常なしだな。」と俺はライトのリモコンをOFFにしベッドに入った。
暫くして、あまりの息苦しさに目が覚めた。仰向けに寝ている俺の胸の上に何者かが圧し掛かっていた。まどろみ状態から一気に覚醒し、只事ではない事態を把握した俺は、抵抗を試みたが全く身体が動かなかった。そうこうしているうちに、口に何か布のようなものがあてられた。と同時に鼻腔を揮発性の刺激臭が襲った。それはクロロホルム特有の臭いだった。遠のく意識の中、犯人たちの言葉が何度も脳内を駆け巡った。犯人たちの言葉は例のあの国のものだった。「やられた・・・」俺は気を失った。
どのくらい時間が経ったのだろうか。見たこともない部屋で俺は目覚めた。すぐに身体をチェックしてみたが、外傷はどこにもなかった。ただ、常に装備していた武器はどこにも見当たらなかった。6帖ほどのこのコンクリートの部屋には中央にベッドが置いてあるだけだった。異様な形のベッドだった。窓もなく、ひとつある鉄のドアには外から鍵かかかっていた。脱出を試みたが素手の俺には何も出来なかった。しかし、俺を拉致して、どうしようというのだろうか?
暫くして、鍵を開ける音がした。俺はドアと反対側に陣取り身構えた。ゆっくりとドアが開き、覆面の男が3人入ってきた。大柄で屈強そうな男が2人、小柄で痩せた男が1人だった。痩せた男が聞き取りにくい外国訛りの日本語で話しかけてきた。ベッドに寝ろということらしかった。当然断ったが、屈強な男に無理やりベッドに縛り付けられてしまった。仰向けにベルトで固定され寝かされた俺には目隠しがされた。もう一人誰かが入ってきた。準備が整ったようだった。きっと拷問が始まるのだろう。
不意に誰かが顔に触れた。ひんやりとした細く繊細な指が、伸び放題の髭の頬を丁寧に軽やかにマッサージし始めた。細く皇かな指は頬から瞼、額、頭部へと移り、最後に鼻に下りてきた。何のことか理解できず、俺は混乱した。マッサージがとても心地よかったからだ。こんな拷問があるだろうか。暫くして詰っていた鼻がスッと通った。すると突然睡魔に襲われた。
さて、これは何でしょうねぇ。みなさん分かりますか?って分かりませんよね。
あのね、先週ね、こんな夢を見たんでございます。すごいリアルな夢だったんですけど、意味が分かりませんね。SPなんですよ、私。でね、要人警護しているんですが、失敗したようでね。何故か私が拉致されちゃう。で、何故か顔面マッサージされて終わるって夢ですよ。
ハードボイルド風に書いてみましたよ。皆さん、ご感想をね、お願いしますよ。
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